とんだアウトロー伝説

photoスタージスについてもう少しだけ付け加えておきたい。スタージスに以前アウトロー伝説が広まっていた。この街にきているアウトローバイカーのバイクに触れたりしようもんなら腕を切り落とされるとか、女性にからんでトラブルとなればすぐ銃が出てくるなど、昔のバイクムービーさながらの荒っぽい話が飛び交っていた。僕自身まだバイカーを雑誌や映画でしか見たことのなかった若い頃、スタージスではないがあるクラブのメンバーの良く出来ていたチョッパーを舐めるように写真を撮っていた時、まあこれはダメかなあと思うようなシーンにもあったが、本当にヤバいことはあった。これは今でもあまり変わらないのだけれど、僕らがそのテリトリーに入った時の振る舞いと立ち位置しだいなのだ。テリトリーに近づかなければ良いし、それなりにルールは守ろう。
これは僕が現場にいた訳ではなく、その当事者とのインタビュー話なのだが…
70年代後半のスタージスでのことだ。とあるモーターサイクルクラブのメンバーたちが近くの街でパーティを楽しんでいた。そのクラブの支部メンバーが開いている街はずれのバーだった。プライベートパーティに近いものであっても、小さな田舎町では当然ながら町中が変な警戒をしていた。にもかかわらず彼らもそのうちには閉められた店内でのパーティでは納まりきれずに、バイクで隣町に繰り出した。そして隣町のバーに数人のバイカーがそれなりの秩序を持ちながら酒を楽しんでいた(そうとも思えないがそう聞いた)。彼らの自由奔放な楽しみ方は保守的な環境で生きていなければならなかった女性の何かをちょいとばかり刺激したのだろう。中には恐いもの見たさに進んで彼らと交わろうとするものもいた。バイカーたちにとっては思っても見ない大歓迎と勘違いする。彼女たちにしてみれば映画で見たアウトローの様な外見とは背中合わせの柔らかな彼らの対応に、好奇心を優先してそのパーティにも参加してくるものも出てきたのだろう。
そうなると今までジッと静かに見守っていた街の男たちも黙っていない、普段何も気にもしていない女性に対してでも、自分のテリトリーを犯されたような錯覚をもちなんだか面白くないのだろう。ある意味では嫉妬かもしれない。バイカーたちの自由奔放な振る舞いに街の男たちは手に汗をかき始めたのだった。そして一人の若者にあるメンバーが酔ってふらつきながら歩く背後から刺されてしまった。
地元の警察はこの傷害事件の事情を明らかにするために、被害者側ではあるのだが彼らのクラブを事情徴収ということで大部隊でバーを囲み、パーティを封鎖した。これでこの事件は次の日のローカル新聞に載って一件落着と思えたが、その大捕り物騒動の次の日だった。メンバーと街の男たちとは気持ちの覚めやらぬまま、またもやちょいとしたいざこざとなった。もちろん警戒中の警官は素早く止めに入った。ところが興奮するメンバーは仲裁役に入った警官までのしてしまった。おまけに大人気も無く、こともあろうに警官のバッチまで剥ぎ取ってしまった。そうなってしまうとウエスタンムービーさながらの、アウトロー集団 対 保安官と街の人たちの戦いになってしまった。もちろん彼らはアウトローとしてジェイル送りになってしまったのだった。
40年も前の話だが何とも荒っぽいことか。その後暫くこの街にはバイカーが入ることを禁止されてしまったのだった。開拓時代にゴールドを求めて集まった、ワイルド・ビル・ヒコックやカラミティジェーンなどの伝説もつアウトローの町にまた新たな伝説を書き加えてしまったのだ。
このことからスタージスのラリーがアウトローバイカーが集まるイメージを生み出してしまったかもしれない。まあその後84年にも暴力事件があってますます伝説は磨きをかけてしまったのだ。そんな昔話でした。

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